辺鄙な研究所

面白いもの発見した時に記憶しておくために書いています。自然/旅行/雑記

中国史の暗記地獄に思うこと

僕は、社会科の歴史分野が苦手だった。

 

高校生の頃、世界史の試験で赤点を回避したのは一度きりで、レポート提出で単位をもらっていた。どうしても暗記が出来なかったからだ。暗記の方法を教えてもらったり、調べた通りに真似したが、自分でも感心するくらい頭に入らない。

 

歴史の思い出といえば、「受験勉強すれば、苦労してもテストの点数が上がる人」と「努力しても暗記できず、受験勉強のモチベーションを保てない人」の2つに分類されるんだな、と赤点の答案用紙を見て、1人で突っ立っていた冬の教室での感傷くらい。だから、歴史なんか無くなれと思っていた。

 

大学生になり、国内外の旅行をするようになると、現地の博物館や遺跡を見る機会を得たことから、苦手だった歴史という科目の存在を少しだけ認められるようにった。昔の人が作ったものが今も残っている事実を噛み締め、その理由を探るには歴史を学ぶことになるからだ。もっとも、暗記しなくても誰にも咎められないことが、理由としては大きいが。

 

少しだけ苦手意識から脱した歴史との付き合いは、最近深まっている。なぜならハリーポッターの原作を読み返したことから、イギリスとヨーロッパの歴史に興味を持ち、世界史Bの学び直しを始めたからだ。

 

本当は、世界史Bのヨーロッパ部分をやるつもりではあった。しかし、世界の史実は繋がっており、一部だけを切り取ってしまうと参考書内の記述を理解出来なくなってしまうので、結局は古代文明から学ぶことにした。真面目に一問一答の問題集と歴史の参考書の2冊を使って学習を進めている。

 

一周目は流れを頭に入れるためにさらっと参考書を一周し、二週目からは暗記しながら学習を進めているのだが、困ったことに中国史ヨーロッパ史と比べて、覚えにくいということに気がついた。

 

なぜ覚えにくいのか。2つを比較すると、中国史ヨーロッパ史と違い事実の羅列のみで解説がなく、親しみのない歴史用語が延々と綴られているためだ。

 

歴史を学ぶ意味は、専修大学によると「 過去を掘り起こし、現在に生かすこともできます。歴史とは現代を考えるうえで貴重な引き出しなのです。」と説明している。これは、歴史として記録された大事件には当時の人の強い考えが反映されており、それらについての過去の事実を知り、我々の思考の糧にしましょうと主張しているように感じた。

 

東京未来大学は「 歴史を学ぶということは、歴史的事実を知ったり、歴史用語を覚えたりすることではないのです。」と述べている。暗記そのものは歴史学習の本質ではないと言っているのだ。高校歴史の本質は高得点を取ることにあるので、暗記が苦手な人にとっては、本質的に合わないということになってしまう。

 

これらを踏まえると、歴史学習の意味は「過去に起きた歴史的事実を俯瞰して把握するとともに、各時代に各民族が起こした代表的な出来事の背景を理解し、現代社会の国際問題解決の糸口を考えたりや文化の維持発展の価値を認められるようになること」と置き換えたい。

 

すると中国史は、いつのまにか偉い人が出てきて、すぐ戦争起こして、覇権をとるけど、ダメになって、次の偉い人が出てくる、の流れをダラダラと暗記しなければならないのに加え、地名が耳馴染みないため気候帯や風土と結びつかない、という問題を抱えており、ヨーロッパ史と比べてガシガシと暗記するだけになってしまうのだ。

 

どうして〇と言う国を倒そうとしたのか

なぜ△△は偉くなったのか

倒したことで市民生活はどうなったのか

その時の農業や文化は何があって、なぜ発達したのか

その時代に発展した技術は何なのか、どうやってそれを見つけたのか

 

歴史の史実を淡々と紡いでいくのではなくて、歴史を動かした人々の細かな動きを把握できるように参考書を作り替えてもらえないだろうか。

 

改めて世界史Bを学び暗記してみると、ヨーロッパ史は、高校時代の印象よりも説明が丁寧で、暗記しやすくなっている気がする。でも中国史は、雑で、まだまだ記述がこなれていない。私達がなんとなくヨーロッパへ憧れてしまうことが、参考書の構成に影響を与えているのかもしれない。

 

世界史Bは現代世界を眺めるのに本当に良い科目であると思う。一方で改善が最も必要な科目であもある。

 

どう改善するか。まず、歴史の俯瞰のためにはある程度の暗記は避けられないが、暗記対象となる語句が細かすぎるので、単語数をぎゅっと減らしてしまう。そして、参考書の記述は、どうして、どうやって、なぜ、一方市民生活は、の4つを入れるように再構成する。さらに、暗記合戦の原因はきっと大学受験にある。たがら、大学受験では、教科書の持ち込みを許可してしまうのはいかがだろう。教科書持ち込み前提の試験問題にすれば、本来目指していた世界史の学習目標を達成できる。(それに、単純暗記ダメな人も学習についていける!)

 

僕は、今、世界史Bの学び直しで、世界の問題の紛争や国境問題の源流を知り、世界の味方が変わった。暗記は大変だが、現在の世界史Bのあり方さえ変えることができれば、とても学ぶ意義のある科目になると思った。

 

ちなみに、世界史Bを学ぶと、イギリスがしょうもない国だと呆れることになるので、先にお伝えしておく。